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コラム「日本では父親が子育てのために仕事の時間を減らせないのはなぜか」
サイトウ 2014.01.20

各国お父さん事情――育児時間 編

さて、今回から数回にわたって、他の国の父親の育児事情をながめながら、日本の父親の子育ての現状をみていきましょう。
まず、世界のお父さんはどのくらい家事・育児をしているのでしょうか。

 日本は育児、家事時間いずれも最下位

図1 6歳未満児をもつ夫の家事・育児時間(1日当たり)

注)日本の数値は、「夫婦と子どもの世帯」に限定した夫のものである。
出典:内閣府男女共同参画局2010『男女共同参画白書 平成22年版』

 日本は育児33分、家事1時間といずれも最下位。最も長いスウェーデンと比べると、その差は約40分。それに、育児時間以上に家事時間の差は大きいですね!

 では、平日に子どもと過ごす時間を、父親と母親で比べてみると、どうでしょうか。

父母の差が大きい日本

 図2 父母別・平日に子どもと過ごす時間の平均値

注)寝ている時間は除く
出典:牧野カツコ他編著2010『国際比較に見る世界の家族と子育て』

 図2をみると、タイ、スウェーデン、フランスでは父親と母親の差が小さいですね。スウェーデン、フランスでは労働時間そのものが短いので、お父さんが自宅にいる時間が長いから、子どもと過ごす時間も長いのかな?と予測できます。

 だけど、タイではどうしてこんなに父親と母親とで差がないのでしょう?
その理由のひとつに、「職場に子どもを連れていくこと」を大人が認める文化がある、ということがあります。獨協大学の江藤双恵先生によれば、学校帰りの子どもが親の職場によって一緒に帰宅したり、ドライバーの仕事をするお父さんが道中「話し相手もなく運転するのはさびしいから」と中学生の息子を仕事に連れて行ったりと、親子の密着度が高いのだそうです(牧野他編2010)。

 「一人ではさびしい」と思うお父さんがいることがびっくりですが、職場に子どもがふつうにいて、親以外の大人でも子どもの面倒を見る、子どももそれを嫌がらないという社会的な雰囲気があることが、お父さんと子どもの一緒に過ごす時間を高めているというのは、おもしろいですね。

 一方、日本では、お父さん3.1時間、お母さん7.6時間で、その差は4.5時間!!韓国も同様に父母の差が大きいのですが、僅差で日本がトップです(苦笑)。とはいえ、東京近郊に住んでいると「お父さんが、平日に3時間も子どもと過ごせるなんて恵まれてる!」と感じる方もいるはず。

そこで次回は、世界のお父さんがいったい「何時に家に帰っているのか?」をみていきましょう。                                                                        

[引用文献]

内閣府男女共同参画局2010『男女共同参画白書 平成22年版』
牧野カツコ・渡辺秀樹・舩橋惠子・中野洋恵編著2010『国際比較にみる世界の家族と子育て』ミネルヴァ書房

齋藤早苗
東京大学大学院総合文化研究科修士課程在学中。実は小学生2人の母、40代。 
進学のきっかけは、2人目を出産した後の、体調不良と仕事の両立のつらさでした。
「なぜ働きながらの育児はこんなにたいへんなんだろう?」こんな素朴な疑問からはじまった研究生活。
現在は「日本では、父親が子育てのために仕事の時間を減らせないのはなぜなのか」について取り組んでいます。

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