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コラム「日本では父親が子育てのために仕事の時間を減らせないのはなぜか」
サイトウ 2013.12.23

子育てするほど仕事は楽しい!

子育てしている父親のほうが、仕事への充実度は高い

お産にかかわったり、生まれたての赤ちゃんのお世話をする「“いのち”をはぐくむ営み」は、「父親になる」上で、とっても大事なステップのひとつ。
お父さんもまた、親から受けた「自分のいのち」を、「子どものいのち」へとつなぐ大事な存在なんです。

一般的に「育児にかまけると仕事がおろそかになる」と思われがちですが、意外にも、子育てしている父親のほうが、仕事への充実度は高いようです。

表1 仕事の感じ×育児関与 (数値は「とても」「わりと」感じる割合)(%)

仕事が楽しい人間関係は円満(2)ストレスは少ない
育児関与:多い 63.0 71.5 51.7
育児関与:中位 61.2 53.3 44.4
育児関与:少ない 52.4 51.8 45.2

出典:深谷昌志(2008)『父親――100の生き方』
注)「育児関与」とは、「お風呂に入れる」「おむつを替える」「子どもを寝かす」「離乳食を与える」といった子どものお世話にかかわることをさす。

仕事が楽しいから育児にも積極的なのか、あるいは育児に積極的な男性は仕事も楽しめるのか、因果関係の向きはわかりませんが、この表からは、子どものお世話をしている父親ほど、仕事を楽しみ、人間関係も円満で、ストレスが少ないことがわかります。

仕事と育児の両方をこなすのはストレスになりそうなのに、なぜ?

実は、「男性は冷静で理知的、積極的に自己主張することが大事だ」と考える男性(=「男らしさ」にこだわる男性)は、感情をコントロールすることが苦手な傾向があるそうです。
一方、こうした「男らしさ」にこだわらない男性は、感情表現が豊かで自尊感情も強いことが明らかになっています(林2005)。

つまりステレオタイプな「男らしさ」から解放され、すすんで育児をする男性ほど、感情が豊かな上に、感情のコントロールもうまく、その結果、仕事や人間関係がスムーズになるのだといえそうです。

しかも、育児をすればするほど、妻は「夫として」「男性として」信頼を寄せるという結果もあります。

表2 夫への信頼感×育児関与(%)

夫は頼りになる男性としての信頼
育児関与:多い 66.3 76.1
育児関与:中位 57.9 55.8
育児関与:少ない 24.8 32.4

出典:深谷昌志(2008)『父親――100の生き方』
「冷静で理知的」をモットーに生きてきた男性のみなさん、子どもの育ちにかかわることは、感情豊かな人間へと変わるチャンスです!
はじめは、ぎこちないかもしれませんが、子どもの「満面の笑顔」が、あなたの変化を助けてくれますよ。

[引用・参考文献]

林真一郎2005『男性役割と感情抑制』風間書房
深谷昌志2008『父親――100の生き方』中央公論新社

齋藤早苗
東京大学大学院総合文化研究科修士課程在学中。実は小学生2人の母、40代。 
進学のきっかけは、2人目を出産した後の、体調不良と仕事の両立のつらさでした。
「なぜ働きながらの育児はこんなにたいへんなんだろう?」こんな素朴な疑問からはじまった研究生活。
現在は「日本では、父親が子育てのために仕事の時間を減らせないのはなぜなのか」について取り組んでいます。

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