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コラム「日本では父親が子育てのために仕事の時間を減らせないのはなぜか」
サイトウ 2013.12.09

お産と夫――戦後から現代まで

近世から戦前まで、お産の場面では夫の助力がとても重要視されていました。このようにお産の場で夫の役割が大きかったのは、夫もまた生殖にかかわる重要な存在と考えられていたからだと思います。では、今もなお生殖にかかわるという点では同じにもかかわらず、なぜ夫はお産の場から切り離されていったのでしょうか?

その背景には、1950~60年代にかけての近代医療の進展があります(板橋2009)。近代医療の進展とともに、自宅で家族や報酬をもらわない産婆に介助される出産から、近代的産婆といわれる医療知識をもつ助産婦の介助、やがて産婦人科医による病院での出産へと、出産の状況は変化しました。
1950年、主な出産場所は自宅でしたが、その後わずか10年で病院や診療所などの施設での出産が半数を超え、現在は、病院・診療所以外での出産は約0.2%となっています(及川・宮田他2012)。

出産の場が、夫や子どもがともに生活する場から離れれば離れるほど、お産の場で、夫が果たすべき役割も失われ、医療施設で分娩が管理されるようになるとともに、夫が「立ち会うべき理由」もまた消えていったのです。

近年では、イクメンになるための子育てのスタート地点として「立ち会い出産」する夫が増えています。

図 立ち会い出産をしたか(子どもの年齢別 経年比較)

出典:ベネッセ教育総合研究所2011「第2回乳幼児の父親についての調査報告書」
 筆者修正 

とはいえ、せっかく「立ち会う」のなら、ただ見るだけのお客さまではなく、積極的にかかわってみてはどうでしょうか。
わたしは2人目の子どもを助産院で出産しました。

1人目の時は病院でのお産でしたが、そのときは正直「見てるだけ、声かけるだけなんてじゃまだなぁ」と思ってました(ごめんなさい!)(笑)が、助産院では大活躍。生みの苦しみの中、椅子にすわった夫の腰にしがみついていきんだことは鮮明に印象に残っていて、今でも感謝の気持ちがじんわりと心に広がります。
残念ながら、病院ではなかなかここまでさせてもらえませんよね。
医療施設のみなさん、ぜひ夫も重要なアシスタント要員として活用してもらえませんか。 

[引用文献]

板橋春夫2009『出産――産育習俗の歴史と伝承「男性産婆」』 社会評論社
及川裕子・宮田久枝・新道由記子・登日麻並2012「現代日本における男性と出産・育児」『園田学園女子大学論文集』第46 号
ベネッセ教育総合研究所2011「第2回乳幼児の父親についての調査報告書」

齋藤早苗
東京大学大学院総合文化研究科修士課程在学中。実は小学生2人の母、40代。 
進学のきっかけは、2人目を出産した後の、体調不良と仕事の両立のつらさでした。
「なぜ働きながらの育児はこんなにたいへんなんだろう?」こんな素朴な疑問からはじまった研究生活。
現在は「日本では、父親が子育てのために仕事の時間を減らせないのはなぜなのか」について取り組んでいます。

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